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若手落語家、志ん魚(しんとと)の青春を軽快なコメディとして描いた故・森田芳光監督の35年前の劇場デビュー作、『の・ようなもの』のその後を描いた、完全オリジナルストーリーの続編が公開。森田作品の助監督や監督補を務めた杉山泰一監督をはじめ、ゆかりのスタッフ、役者が大集結した本作で、落語家修行中・志ん田(しんでん)を演じるのは、俳優・松山ケンイチさん。主演を務めた松山さんに、何者にもなれない、”のようなもの”たちが繰り広げる大人の青春映画『の・ようなもの のようなもの』が教えてくれることについて聞いた。<映画『の・ようなもの のようなもの』の情報はこちら>
──森田芳光監督の『の・ようなもの』の続編が作られると知ったときは、どう思われました?
「企画の存在は知っていたんですが、なんとなく普通に原作ものなのかなと思っていて、『の・ようなもの』の続編になるとは、まったく予想してなかったです。とにかくびっくりしましたけど、もう一回またみんなと集まって映画をやりたいという気持ちがあったので、やらせていただきました」
──志ん田という落語家の役をやる上で、難しい点はありました?
「『の・ようなもの』自体も落語をメインにしているわけじゃなく、落語家の青春映画でしたし、今回もやっぱり落語がメインの話ではないので、なんとかなるんじゃないかと高を括っていたんです。でも、実際やってみると、簡単になんとかなるもんじゃないなと思い知らされました(笑)」
──どこがなんとかならなかったんでしょうか?
「普通に役者をやっていると、自分に近い年齢の、もちろん男性を演じるわけですけど、落語は年齢も性別も超えて色んな人を一人でやるわけですから、そういう難しさもありました。それに、たとえば落語の中で子どもを演じるにしても、本当の子どもに近づけようとやり過ぎてしまうと何かが違うんです。プロの噺家さんの噺を聞いてると、みなさんそこまでなりきってるわけではないんですよね。僕は二ツ目の役で、真打ちみたいな話し方をしろと要求されてるわけじゃなかったので、そこだけは救われましたけど」
──新作落語の『出目金』を披露するシーンは印象的でした。
「『出目金』は、苦しかったですね。あれは古今亭志ん八さんが作った新作落語なんです。だから、YouTubeにも転がってないし、お手本がないというかコピーしようがなかった。まぁ、僕が演じた志ん田のオリジナリティーを出すにはうってつけの演目だったんですけど。もうひとつ映画の中でやった『初天神』は、柳家小三治さんの映像を資料で観ていて、下手なりに小三治さんのやり方をなぞったんです。でも、志ん田が二ツ目に昇進するというときに、殻を破って自分を落語で表現するシーンで披露するのが、『出目金』だと思った。だから、どういうふうにオリジナリティーを出していくかを考えたときに、青森弁のままでいいんじゃないかという話になったんです」何者にもなれない、“のようなもの”という存在
──志ん田のキャラクターはどことなく、素の松山さんに似ているような気がします。志ん田に共感するポイント、似ているなと思うところはありましたか?
「自分ではあんまりわからないんですが、こだわりを持ってるというのは、僕にも当てはまるところですね。でも、小さなこだわりみたいなものは、志ん田以外の人にも全員あって。そういう考え方もあるんだなって気付かされたり、お互いを認め合えることも、ひとつの成長だと思います。それに、この映画の中みたいに共存できるこだわりがあるって、いいですよね。志ん田の役は僕っていうよりも、完全に『僕達急行 A列車でいこう』の小町なんです。この映画では、全員がかつて森田作品でやったことのある役を引きずって出ている。新しい役をやってる人はいないんですよ」
──森田監督がこの作品を観たら、どんな感想を持たれると想像します?
「いや、わからないです。森田さんのことはやっぱり今でもわからないし、本当はいろいろわかった上で一緒に仕事したかったなと思うんですけど、とにかく感性が面白すぎてついていくだけでも必死でした。だからご一緒した3回とも、森田さんの演出に従ってちゃんとできてるのかなと、ただ不安になる現場だったんですよね。森田さんから言われたことで今でも覚えてるのが、『ウケを狙わないでくれ』という話。『ウケを狙うのが一番サムい。人間はそのまま生きてるだけで面白いんだから』とおっしゃっていたのは、すごく印象に残ってます」
──35年という時間の変化を、どこに一番感じました?
「(伊藤)克信さんの体型の変化とかを見て、年月を感じていました(笑)。訛りは変わってないですけどね」
──前作を知らない世代の人たちに、どう楽しんでもらいたいですか?
「ゆるい青春映画なので、僕世代の人はもちろん、少し疲れていてリフレッシュしたいという方にも、すごくいい映画だと思います。なんかこう、何者にもなれないというか、“のようなもの”ってみんな抱えている感情じゃないですか。僕は、何かにならないといけないと考える必要はないと思うんです。いつの間にかなっちゃっているとか、そういう感じでいいような気がする。この映画に流れている、とりあえず今を楽しんで生きていこうよというメッセージは、ある意味、森田さんの『僕達急行 A列車で行こう』と繋がっている部分もあると思います」
──ご自身を何か”のようなもの”だと考えたりします?
「“のようなもの”でもあるし、本物でもあるかな。そのジレンマというか、せめぎ合いは常に抱えていて、どちらか片方に振れても駄目だと思うので、ギリギリのところにいたいと思っています。役者が本物志向になっちゃうと、面白くないんですよね。たとえば、僕自身が短期間で本気になって落語家を目指すのは、役として見ると一番つまらない。プロのほうが上手なのは明瞭なわけだから。結局は、それを表現としてどう面白く見せていくかが、“のようなもの”の仕事なんですよね」
一番リラックスしているのは、家族で過ごす時間
──松山さんがオフになるのは、どんなときですか?
「完全にオンオフを切り替えることを目指していたんですけど、やっぱり難しいんですよね。たぶん、みんなそうじゃないかと思うんですよ。でも、そこばかりにエネルギーを使うのも違うかなと。家族で過ごしたり子どもと遊んでいたりすると、いつの間にか仕事のことを忘れていたりすることもあるし、いつもどこかで仕事のことを考えながらいろんなことをやっている気もします。切り替えできる何かが見つかるといいなとは思いますね」
──家族を持ったことで、仕事やプライベートに対する考えは変わりました?
「家族ができてから、仕事とプライベートのどういうバランスが一番いい状態なんだろうとは考えるようになりました。一定の仕事をしているわけじゃないから、バランスも都度変わってきてしまう。それに対応するのが大変だったり、疲弊しきっているときもあります。上手くバランスを取るには、どうすればいいんだろうなぁ。単純に旅行に行くのでもいいかもしれない。今は、仕事だけじゃなく、とにかくもっといろいろやらなきゃなという思いはあります」
松山ケンイチ(まつやま・けんいち)
1985年3月5日生まれ、青森県出身。16歳で、ホリプロ男性オーディション『New Style Audition』のグランプリを受賞。モデル活動を経て、ドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。2005年、映画『男たちの大和/YAMATO』の年少兵役で注目を集め、06年、映画『デスノート』、『デスノート the Last name』の“L”役で幅広い世代に人気を博す。12年にはNHK大河ドラマ『平清盛』で主人公を演じる。今後の公開待機作に、吉田修一原作の映画『怒り』(16年秋公開予定)など。森田芳光監督作品には、『椿三十郎』、『サウスバウンド』に出演、『僕達急行 A列車で行こう』では主演を務めた。
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